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前にたかしに「アビスで同人書(描)こうぜwww」って言われたときの。
シンクが可哀想な六神将ギャグ。健全です。書いたのは中3のクリスマス前かな。 リアル中学生の小説を晒してみる^q^ *** 任務を、命じられた。 何のことはない、それはいつも通りだ。 ・・・だが。 『六神将の私室をチェックせよ』 紙に書かれているのは、この一言だけだった。 突撃!お部屋訪問 「六神将という同じ立場にいても個人のことを話す機会など全くない。」 ヴァンではなく、リグレットが口を開いた。ヴァンの手を煩わせたくないということだろう。しかし、書類を渡す手捌きはもはや鬼。ヴァンは半分涙目で書類を見、時にはサインや印を押していた。 「基本的に全員が個人プレイだからな。やはりお互いを知り合って・・・」 「バカバカしい。」 言いかけるリグレットを遮ってシンクは言い放った。もう話を聞くつもりもない。さっさと身を翻し、手にしていた指令の紙を握り潰して机横のゴミ箱に放る。 「どうして僕がそんなことしなきゃいけないのさ。」 くだらない、と言ってシンクは部屋の扉のノブに手を掛ける。 その様子を見てヴァンは一つため息をつくと・・・ 「リグレット。」 チャ、と、2丁の譜業銃がシンクの背後に向けられた。 * 「まずはアッシュか・・・」 シンクは頬の細い傷跡からうっすら滲んだ血を手の甲で拭いながら呟いた。 無理矢理力尽くで受けることになった任務のため、今こうして廊下を歩いている。まずはヴァンの書斎から一番近いアッシュの部屋へ向かうことにした。歩いて数分。目下に置いておく算段だろうか、いやに近い。 「アッシュー?いるの?」 トントンと扉をノックする。しかし、返事はない。試しにとノブを回すと、鍵が開いていた。慌てて出て行ったのだろうか、アッシュらしくない。 扉の中は、何のこともない質素な部屋だった。生活に必要なベットと、書類を書くための机と椅子か、クロゼットくらいだ。 「・・・クロゼット?」 あのアッシュが、教団着以外の私服を持っていると? シンクは恐る恐るクロゼットの取っ手に手を掛ける。服が入っていたら恐ろしいけれど、予想したものが入っていたらさらに恐ろしい。シンクは祈るようにゆっくりとクロゼットを開いた。 「・・・・・・・・・」 やはり キムラスカの王女様の写真が。 ・・・これを報告書に書けというのだろうか。 「・・・おい。」 さらに不幸なことに、アッシュが戻ってきた。背中に突き刺さった視線が痛い。自然と冷や汗が顔の横を流れた。シンクはゆっくり振り向き・・・ 「・・・・・アカシック・トーメント!」 逃げるためには、これしかなかった。眩い閃光と苦しそうな悲鳴が部屋に満ちる。シンクは転がるように扉から出、踏み切って走り出した。しかしアッシュもやはり六神将。回避したのか喰らいつつも逃げ出したのか後ろから足音が聞こえてくる。丁度そのときシンクの目に少し開いた扉が入った。シンクはサッとその中に滑るように入り込む。そして扉を閉めた。ドキドキと早い脈を打つ心臓を押さえながら扉に耳を当て、外の様子を探る。物凄い勢いでアッシュの足音が響いたが、それはこの部屋を通り過ぎていった。シンクは大きく脈打つ胸を撫で下ろし、安堵する。 「おやシンク。こ・の・ディスト様に何か用ですか?」 ・・・最悪だ。間違っても来たくない部屋に来てしまった。 来ることになるのはわかっていたが、できるだけ最後に回したかったのである。何故ならここは部屋と言うよりは研究室で。 「丁度いい!実験に付き合って頂きましょう!」 ホラ来た。 「・・・ディスト、僕は任務で・・・」 「お待ちなさい、すぐに用意しますから。」 ・・・ダメだ、理由を伝えるよりどう逃げるのか考えるのが先だ。 考えながらシンクはとりあえず報告のために部屋を見渡す。相変わらず毒々しい色の(恐らく本物の毒だろうが)液体の入った試験管やら何やら謎の生物の一部が入ったビーカーやらが盛り沢山である。そのせいか机は報告書を書くのがやっとのスペースしかなく、また謎の液体をこぼしたのであろう広げられた書類は紫色の斑点で彩られていた。 「おや?どこにいったんでしょうね~?」 実験するものが見つからないらしい。出てこないでほしいと思った。 部屋の壁には何やらモンスターの標本や解剖図。そして写真。藁人形が五寸釘で打ち込まれている写真もあったが、その横では子供時代だろうか幼いディストとグランコクマ王、ケテルブルク理事、それから死霊使いの4人が写った写真があった。被写体が複数で本当に良かったと思う。それから、床にはガラスケース。部屋の隅に置かれたそれは、培養カプセルと言ったところか。その中で何かが蠢き、双眸がシンクをギョロッと見詰めた。 「え、ちょ、ディスト、これ・・・」 「ああ!そこにありましたか!」 いやこれ僕に試すの?! 冗談じゃないとばかりにシンクは全力で逃げ出した。疾風のシンクの名は伊達ではない。(しかも、いつもより格段に跳ね上がっている。)走りつつ、次は近くのアリエッタの部屋に向かおうと途中で方向を変えた。彼女なら一応大丈夫だろう。導師が好きだからって、写真は持ってないはずだ。というか、写真を知っているのだろうか・・・まぁいい。さっさと終わらせてしまおう。 「入るよ!」 「え?!」 もうノックすら面倒臭くなって、シンクは何もせず扉を開いた。 サクッ 「・・・この部屋は・・・」 確かに、写真はない。変な生物もいない。 だが、部屋中が植物だらけとはどういうことだろう。床も芝生で、歩くたびにサクサクと音がする。 「あっ、あのね、ライガたちといつも一緒にいられるようにね・・・」 アリエッタは必死に弁解していた。 その様子に気付いたのか、魔物たちが顔を上げてシンクとアリエッタを見る。 「・・・うん、そうだね、仲良いもんね。」 泣きたいとシンクは思いつつ、アリエッタの部屋(森林)で暫しライガたちと放心状態でのお茶会を楽しんで(?)いった。 * アリエッタのお茶会を終わらせた後、一番近かったリグレットの私室にシンクは足を踏み入れる。リグレットならまともだろう。厳格で真面目な性格の彼女の部屋は、それを鏡に映したようにシンプルで機能的だった。 リグレットが部屋に一つしかない机と対の椅子に座りながら「すまないが適当に座って書いてくれ」と言いつつ、彼女自身の仕事だろう書類にペンを走らせ出す。シンクはそう言われて、きょろきょろと部屋を見回した後部屋の隅に置かれたベットに「やっとまともな報告書が書けるよ・・・」と多少ため息混じりに言いながらどさっと少し乱暴に座った。 と、そのとき何かが背中に当たった。いや、背中じゃなくお尻辺りだろう。キョンとして振り返りそこを見ると、ベットの掛け布団に不自然な盛り上がりができていた。シンクは立ち上がり、何気なく掛け布団をぺらっと捲る。 「―――ッ!!!」 息が詰まったかと思った。 あったのは、ティアのぬいぐるみ。 (写真の方がまだマシだよ・・・) そう思いながらシンクはこっそり報告書のリグレットの欄に書かれた部屋の現状に「総長の妹のぬいぐるみ発見」と書き足す。 「・・・リグレット、まとめたから僕はもう行くよ。」 「そうか。」 リグレットは振り向かずにシンクに返事を返した。 シンクはシンクでリグレットの方を見向きもしないで通り過ぎ、出て行く。シンクが来る前までヴァンの仕事に付き合っていて隠す場所と時間がなく、やむを得ず布団に埋めたのだろうか。 とりあえずヴァンの部屋は行かなくていいだろうと(命令したのはヴァンだし)思い、今まで書いた報告書に目を走らせながら次の部屋に向かった。 恋人(?)の写真、怪しい生物、部屋が森林、ぬいぐるみ・・・・・・・ 六神将に、ローレライ教団にまともな人物はいないのだろうか。 そんなことを考えているうちにシンクは最後の扉の前に辿り着く。 最後はラルゴ。扉をノックして用件を述べると、アッサリ通してくれた。 「・・・・・・・」 写真はない。変な生物もいない。森林じゃなければ掛け布団に不自然な盛り上がりもない。試しに何故かあったクロゼットやタンスも開けた。 中は、空。 普通の、本当に普通の成人男性の部屋だ。 「しかし、おかしな任務をつけら・・・シンクーーー?!」 ラルゴは自らの言葉を遮り、感動に打ち震えながら仮面の下から涙を流すシンクに驚いて手にしていた書類や筆記用具を思わず床にバラバラと落としてしまった。 「うわ・・・生まれて初めて泣いたよ・・・」 「何で今泣く?!」 「世の中にはまともな部屋があったんだなぁって・・・」 「世の中が狭くなっているぞ!落ち着け!!」 とりあえずシンクは涙を目に浮かべながらこのことを早く書こうと報告書を取り出し、部屋の周りを見渡す。 あれ?目が霞んでよく見えない。まぁいいか。「普通」で済むから! が、目の霞にも負けずに机の上の金属は鋭い光をシンクに届けた。 そこにあったのは、金属の縁でできたフォトフレーム。 ・・・フォトフレーム? シンクは何か恐ろしくなって、そっとそれを持ち上げた。 驚いたように奪い返そうとラルゴがシンクの持つそれに手を伸ばす。しかし、もう遅い。シンクのその手は震え、フォトフレームの中のナタリアの顔に涙がぽたりと落ちた。ビクッと戦慄いたラルゴにシンクは振り向き、 「・・・せ」 「・・・は?」 「・・・返せ・・・僕の初めての涙を返せーーー!!!」 もちろん、戻るはずもなく。 任務は終了しましたとさ。 終わってしまえ。 PR |